ホテル・ルワンダ
2006-01-20


混んでいそうなので別の映画にしようかと思っていたが某所の某絵を見て『ホテル・ルワンダ』に変更。

12:15ぐらいに到着。1:05の回で整理番号は22番でした。

この映画はある日始まった大虐殺の中で,ホテルを守り,ホテルに逃げ込んできた人たち(=客,お金は無いにしても)を,賄賂やコネや口の上手さを駆使して守り抜いた男性の物語です。

Number645号にあったシンデレラマンの広告をもじって言えば家族(実際の家族,擬似家族:従業員・客)のために(コネから賄賂から口八丁から様々なものを使って)闘ったヒーロー普通の人の物語です。(ヒーローではありますが,アクション映画などでのヒーロー(タフガイ)ではなく普通の人として描かれます。パンフレットの町山智浩さんの解説によれば実際にはエリートタイプだったそうですが)。

公式サイトでのINTRODUCTIONの出だしは以下のようになっています。

"1994年、アフリカのルワンダで長年続いていた民族間の諍いが大虐殺に発展し、100日で100万もの罪なき人々が惨殺された。アメリカ、ヨーロッパ、そして国連までもが「第三世界の出来事」としてこの悲劇を黙殺する中、ひとりの男性の良心と勇気が、殺されゆく運命にあった1200人の命を救う。"

映画「ホテル・ルワンダ」公式サイト

“アフリカでの大虐殺”ということに引きずられそうになりますが,それに対する町山智浩さんの指摘は重要だし,これを頭に入れてから観に行ったほうが良いのではないかと思います(ある程度のストーリー展開が分かったからと言って面白くなくなる映画ではありません)。

民族間の憎悪は徐々に徐々に染み込んで行きある日突然現れる。そして,自分の身が脅かされるまでは,自分の安泰な生活を崩したくない為に気付かない振りをしてしまう。ここが自分の身にも十分起こり得て,自分もそうしてしまうだろうと感じて,ああと呻きそうになる場面でした。。

この映画は仕事に対する責任感と誇り,大事の前では何の力も無いかもしれないが,それでもベストを尽くす矜持の物語でもあります。

命からがらホテルに逃げ込んで,そこで混乱期にも係わらずワイシャツを着てネクタイを締めホテルマンとしての当たり前を全うする姿にぐっと来ました(その後も汚れたら着替える)。

ホテルもギリギリまで(客が実際には避難民であっても)体裁を保つ姿に,(そうでもしていないと見の置き場がないというのもあるでしょうが)やはり仕事に対する誇りを感じます。

腐敗があって助かることもあるということも考えてしまいました。

腐敗はいけないこととされていますが,腐敗があるからこそ賄賂を使って生き残る術もあるわけです。純粋な集団にはそういう隙がありません。

上映が終了して帰る人と次の回を待つ人とでロビーはごった返していました。その中で前を行くカップルの会話が聞こえてきました。

女:なんでこんな映画に人が一杯来ているの?

男:でも,ほら,結構よかったじゃない

なぜでしょう?>面白いからです。

そして,純愛とか可哀想といった感動とは別の感動があるからです。この映画はそういう映画です。

付記

『ホテル・ルワンダ』については↓が一番参考になります(ここの活動が公開まで持ち込みました)。


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