最終日に滑り込みで見てきました(前売り買ったのに『奇談』は終わっていたよOrz)
観客の年齢層は大体中年以上でちらほら若いカップルという感じで,ターゲット層にきちんと届いている感じです。
大変結構な映画でした。過去を題材に一種の理想郷を描いた作品です。
空間に包まれる,浸るためにも映画館で見たほうがよいでしょう。
時代へのこだわりというよりは,甘い幸福な仮想空間を実現させる為にノスタルジーを使ったと見えます。
タイムトラベルものではありませんが,その幸せっぷりで広瀬正さんの『マイナス・ゼロ』,ジャック・フィニイの『ふりだしに戻る』などを想起させます。
ですからこの映画では,時代の負の部分はほとんど描写されませんし,町内の人には悪い人,イヤな人はいません(私はこの時代を実際には知りませんが後の時代にも残っている影はわかります)。
奇しくも朝日新聞社の大上朝美さんが本日(12月16日)夕刊のコラムで観たくない理由(あの時代の影の部分を思い起こすから)をあげ,例としてトイレについて言及(汚かったこと)されました。
果たして,トイレの描写は存在していません。 。
ただそういった負の部分の描写が無いのは正しいと思います。
甘く切なく楽しくあればいいので,下手なリアリズムはその幸福感をだいなしにしてしまいます。
<p>比重は時代を描くことにあるのではなく,実際にはあり得ないファンタジーでひと時を過ごすことにあります。ですから,ストーリーもご都合主義のよくある話(あからさまな伏線)でよいわけで,全ては理想郷に浸るための補助装置です(そういう意味では力づくでも全員をきっちり幸福にして欲しかったとは思います)。
色々と欠点はあるでしょうが,ほとんどは問題になりません。
ただ,おそらくはどこまで出来るかという実験で,一歩を踏み出さなければその先はないのですが,“デジタルアクター”と称するものは,カクカクと動き同じ動作を繰り返す,ちょっと前のゲームの背景の人のようでした(仮想空間を強調する為わざと入れたという深読みもできますがw)。
WETAデジタル社のマッシブがある時代にはちとつらいものがあります。
(マッシブのデモは
Massive Software - Commercials
[URL]
で見られます)
良かったところ
すばらしいものだっただけに,作り物という事がわからずこんな事を言う人が出そうです。
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